「やるべきことは分かっているけれど、ついつい後回しにしてしまう」
「気がついたら、締め切りギリギリになってしまい、毎回慌ててしまうことがある」
こんな経験はありませんか?
普段、私たちは先延ばし癖を自分の性格や能力不足だと考えがちですが、実際には、先延ばしの根本的な原因は環境にあると言えます。
積極的に行動し、急成長する人は、彼ら自身の性格や能力だけでなく、単に「先延ばしをしないような状況」に身を置いているからなのです。
この記事では、急成長を望む人々に向けて、先延ばし癖のある人と即座に行動する人の違い、先延ばしの状況パターン、そして急成長する人と停滞する人の違いを紹介します。
先延ばしとは
「先延ばし」とは、やらねばならないことややった方が良いことを、後回しにしてしまうことです。
実際、先延ばし自体が悪いわけではありません。
問題は、行動する期限を具体的に設定せず、ただただ先延ばしにしてしまうことです。
「今は忙しいから、後でやろう」
「余裕ができたらやることにしよう」
「気持ちを落ち着かせてからにしよう」
こういった言い訳をして、具体的な期限を設けずに先延ばしにしてしまうことに焦点を当てています。
「先延ばし癖のある人」vs「すぐやる人」の差
運命が分かれた、2人の物語。先延ばし癖のある人と先延ばし癖がない人(すぐやる人)には、どのような違いが生まれるのでしょうか。
YさんとKさん、2人の物語を見てみましょう。
2人の差がなぜこれほど大きく開いたのでしょうか?その鍵となるのが「継続と怠惰の複利法則」です。
この法則によれば、「毎日1%ずつ成長するか、または毎日1%ずつ後退するか」によって、大きな差が生まれると言われています。
先延ばしせず毎日1%ずつ成長した人と、先延ばしして毎日1%ずつ怠惰になった人を比べると、365日後の成長差は驚くほどの1000倍以上にもなるのです。
Yさんはどのようにして急成長したのでしょうか?彼は営業職で、入社1年目から日々10分から15分、提案スキルをコツコツと学んでいました。そして1~2週間に1度、学んだことを繰り返し練習し、実践の中で基礎を確かめながら成長しました。結果、同僚と同じ時間を使いながらも、記録を塗り替えるほどの業績を上げたのです。
一方、Kさんは同じ営業職でしたが、先輩からの教えにとどまり、提案スキルの学習や努力を怠っていました。その結果、同じパターンの失敗を繰り返し、努力を続けることが難しくなっていきました。
この成長の格差をグラフに示すと、驚くほどの違いが浮き彫りになります。Kさん、実はこの記事の筆者です。今の人生に大きな不満はありませんが、「あのとき、先延ばしをせずにもう少し頑張っていたら、どうなっていたんだろう?」という思いはあります。
だからこそ、私は先延ばし癖を持つ人々が克服できるようにと願いを込めて、この記事を書いています。
先延ばし癖のある人の特徴
先延ばし癖の特徴としてよく言われるものと、実際の人間心理で掘り下げると、先延ばしの本質的な原因が明らかになってきます。
それは、以下の2つの人間心理に見られます:
単純緊急性効果: 人間には、時間制限があるとそれが重要だと錯覚してしまう傾向があります。例えば、在宅勤務中に仕事を優先してしまい、運動を後回しにすることで体重が増える「コロナ太り」のような事例が挙げられます。
曖昧性忌避: 人間は不確実な状況を避けようとする性質があります。経済学的には「曖昧性忌避」として知られており、例えば、「2万円相当の中身の見えない福袋」と「1万円相当の中身が見える福袋」なら、中身が見える方が魅力的に映るというものです。
このような心理的要素が先延ばし癖を助長し、人々の行動に影響を与えることがあります。また、個人差があり、曖昧性耐性が低い人は情緒的に不安定になりやすく、環境の変化を脅威と感じる傾向があるとも言われています。
先延ばし癖が生じやすい3つのパターン
先延ばし癖には、実は濃淡の違いから複数のパターンが存在します。それを単純緊急性効果と曖昧性忌避の度合いで見てみましょう。
遭難中のパターン: 重要なことは分かっているけれど、取り組むのが困難で先延ばしにしてしまう状態です。例えば、「説得力のある話し方を身につけたいけど、一歩を踏み出すのが難しい」とか、「仕事を早く片付けて家族と時間を過ごしたいが、方法が見えない」といった状況です。このパターンでは、先延ばしにしていることが自覚されており、焦りや不安を感じやすいです。
消耗中のパターン: 何をすべきかは理解しているが、本当に重要なことが見えていない状態です。To-Doリストはいっぱいだけど、重要なことが見えず、時間を使っている感覚があります。緊急なことばかり追いかけているため、充実感と同時に時間を無駄にしている気持ちもあるかもしれません。
冬眠中のパターン: 重要なことが見えておらず、さらに何をすべきかもわからない状態です。仕事に意義を見出せず、他のことに逃避してしまうことがあります。
これらのパターンでは、それぞれ異なる心理的な要因が先延ばしにつながっています。先延ばしのパターンを理解し、それぞれに適した対処法を見つけることが大切です。